Rep Journal, July 2002

Issued July 2002

今回は、アメリカのモラルの失墜についてとりあげたい。そもそも今回のトピックはあることがきっかけで思いついたのだが、それは電話代の請求書がはじまりだった。

この2ヶ月の間にここアメリカから日本には5回電話をしている、その5回のうち時間帯は18時から19時の間で、全てが15分から38分。4回は請求金額が2−4ドルだが、1つだけが125ドルの請求になっている。使った時間は他と同じ時間帯で38分間の通話だ。 しかもまったく同じ時間に同じように38分間通話したものが、3週間前にもあって、それは3・71ドルだ。 それがこれだと1分間の通話料金が3.50ドル以上もすることになる。 そんな高額の通話料金をいまどき請求をしているところがあるのだろうか、今はどこの長距離電話会社は日本まで、1分間10−20セントのはずだ。それがなぜだ?それにコーリングカードの第三者による不正使用も最近よくテレビでやっていたので、とにかくどういうことなのか、電話会社のカスタマーサービスに電話してみた。 散々機械にたらいまわしにされたが、やっと人間と話す事ができて、このチャージについての説明を求めたが、電話会社のねーちゃんは今、過去数ヶ月の電話代をしらべてみます、というので数分間待たされたが、この間相手のオフィスの内の音や、ちょっとした会話はこっちに聞こえてくる。  またこのチャージを見つけたとたん、このねーちゃんも”ワーオ”と小声で言っているのがこっちにも聞こえた。しかしながら会話は会社側から録音されているのでこのねーちゃんも一切会社の不利になるような事は言えないのだ。 数分たって、”もう少し待ってください、スーパーバイザーと話してきます”といわれ、待っているとねーちゃんが戻ってきて説明を始めたが、このねーちゃんもこれは取りすぎていると思っているらしく、説明に自信がなさそうだ。 結局説明はこうだ、 5回電話しているうち4回は1010ナンバーと呼ばれる、Discount ナンバーを使用していること。1回はこのサービスを使用せず、しかもコーリングプランに入っていないので通常価格になるのだという。(アメリカでは、通常国際電話は001で始まる、それが1分それだけしたのだ) じゃその通常価格っていくらなのと聞くと、最初の1分は3・70ドルでそれ以降3・65ドルだという。全然かわらねーじゃねーか、と言ったらコーリングプランを追加で1月5ドルで加入すれば毎分あたり25セントになるというのだが、どのみち今回のチャージ分は自分が掛けたので仕方なく払う事にした。 でもこのねーちゃんもコーリングプランに入ってない場合のチャージがそこまでになるとは知らなかったようで、さすがに申し訳なさそうだった。  だいたいほとんどのアメリカ人の家庭の電話代が20ドル前後なので、ひとつきのチャージが100ドルを越えれば、おそらくひっくり返るほどびっくりするはずだ。

ではこの件が今回のタイトルと、どういう関係があるというのかというと、事前説明があまりにも無かったということだ。以前は長距離電話会社を選んだ時点で、説明の書かれた手紙が必ず送られてきたのだが、最近の電話会社は説明を極力少なくしているようだ。 電話使用者の会話パターンは電話会社ではわかっているはずで、以前はそれを使って個別にセールスをしていたのだ。 以前では大手長距離電話会社、ケーブルTV、インターネット接続会社、証券会社などは説明を必要以上にしていた、それは無用な訴訟を避けるためだ。 事前説明と言うのは、言葉のごとく、事前に物事を説明をする事だが、それ以上に会社側はその説明範囲の事を遵守する、ということだ。 しかし最近では、社会が信用していた上場大手の会社がそれら遵守すべき事柄を遵守せずに市場経済を失墜させている。

数年前では日本の政治スキャンダル、上場会社のスキャンダルが世界経済の成長の妨げ、と散々いわれてきたが、今ではアメリカの大会社のモラルの無さが世界経済の足かせになっている。 現に最近の市場低迷の理由の一つは、売り抜け、粉飾決済をめぐるスキャンダルのおかげだ。 エンロンの役員が自社株の売りぬけをしていた事に始まり、ワールドコム、ゼロックスの粉飾決済、しまいには、マーサ スチュアートまでが株の売りぬけの疑いがかけられている。 またアンダーセンに始まる不正経理ではさらなる拡大がありそうだ。 これらの大企業は極端な話、去年までは超一流世界企業で、誰もが不正を疑った事がなかった会社達だ。 彼らのおかげで、米国市場は予想もつかない低迷に突入、行き場をなくした投資先は為替に移りつつある。 これにより円ドル相場が円高に振れ、日本企業の輸出不振に拍車をかけそうな勢いだ。 これでまた日本経済の不況の出口は見つけられなくなりそうだ。 経済論理で見れば一方的な敗者は存在しない。バブル期、日本が勝者になり、90年代アメリカが勝者になった。 バブル期以降、日本のモラルのなさが、世界中でたたかれ、特にアメリカは自国のモラル論を他国に押し付けてきた。 21世紀初頭の今はアメリカのモラルの無さが目立ってきた。 最近のテロ問題にしても結局は国家、文明間に存在する倫理観の違いによるものだと思う。

エンロンの悪党おやじ

悪党3人衆、まるでマフィアのようだ

まさか、マーサまでが

 

シラク・フランス大統領に株価について詰め寄られる、ブッシュ大統領

カナダサミットでは、日本の存在感は無かった

最近のアメリカのモラルの無さをもうひとつ。

アメリカの多くの小・中・高校では校舎の入り口に金属探知機を設置していて無用のトラブルを避けるようにしている。また幾つかの学校では”ノートレランスポリシー”と呼ばれるポリシーを採用している。それは”我慢をしない”ポリシーで校則などに違反をすると即、それに対する罰が、考慮なしで決まるものだ。 ある子が学校に工作用カッターを持ってきたが、金属探知機に引っかかった。当然その日の授業に工作があるからだ。 学校・地元自治体側はノートレランスポリシーを採用していて、その子はそのまま6ヶ月の懲役刑になってしまった。もちろん、その子には過去に犯罪暦など無く、優等生だったという。 こんな事は以前では考えられない事だった。  このノートレランスポリシーは結構多くの自治体で採用されている、採用された理由の一つが、数年前にコロラドのコロンバイン・ハイスクールでの事件を受けてのことだが、これほど無責任なポリシーも無いと思う。犯罪というのは無責任・無関心が根底にあり、このポリシーはすべての責任を大人たちが放棄したものといえよう。 

最近のアメリカでの株価・消費の低迷、わけのわからないポリシーは、すべて、大人たちが物事を考えなくなってきた証拠だろう。

おわり

 

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