Rep. Journal, Dec 2007

Issued  Dec2007

(今回は急いで書いたので乱書です)

2007年10月前半にアメリカで発生したサブプライム問題の拡大は未だ収束を見せず、底なしの状況が続いている。世界中では、アメリカ発のサブプライム問題をきっかけに様々な経済・構造・社会問題が発生してきている。これら の問題は景気がそこそこのときは良いが、景気の良い時に先送りにした数々の問題が不景気時に吐出し複雑に絡み合い、問題をさらに複雑化させている。景気が明らかに悪くなろうとしている時に、実態を早くつかみ、対応を早急に打つことが必要だが、とりわけ日本ではバブルの経験も生かせず、対応が後手に回っているようだ。

世界の状況、とりわけ日本とアメリカでは2008年は、そしてそれ以降はどうなるのか、アメリカと日本の状況を踏まえ分析してみたい。

 

アメリカの2008年、そしてそれ以降...

アメリカでは2008年には大統領選挙が行われる。人口3億程度の国家が世界の富の6割以上を占め、そして政治ー外交ー軍事を通じて世界中の国家に大きな影響を与えているこの国の行く末、強いては世界の行く末を見る上で非常に重要である。07年12現在では、ヒラリー、オバマ、ロムニィー、ハカビィー、ジュリアーニなど候補者が熾烈な選挙戦を続けている。様々なメディアでの世論調査では 、これら選挙戦を続けている候補者で抜きに出ている候補者は未だに居ず、ぎりぎりまで候補者絞りが難しい状態が続くであろうと予想している。 選挙戦序盤では、女性候補だとか黒人候補だとかが話題になっていたが、今では一般に有権者は、イラクーテロの戦い、ガソリンーエネルギー価格急騰、物価急騰、経済 低迷、不安な将来を抱え、大統領実務には、経験を選ぶか、それとも斬新さを選ぶかが焦点となりつつある。 しかし実際は民主党・共和党のどちらの候補者に選ばれようとも、今現状で世界中で進んでいる経済不安、イラクからの撤退は避けることは出来ず、誰が大統領になっても同じではないか?といった 深層心理が実際は大多数である。まあそれだけ両党の候補者を見ても政策に大きな違いは無いからであろう。

アメリカ大統領選は08年の後半で、候補者選びに対し時間的余裕が十分あるが、サブプライムを発端とした経済問題は待ったなしの状況である。連銀は既に何回かの利下げをしているが、現状から見ると、明らかに今以上の低金利が必要だ。少なくとも 現状より1−3%程度の利下げが必要だろう。ただ問題は、利下げをすればよりインフレ懸念が再燃し、エネルギー・食料・原材料の価格はますます高くなり、結果、国民をさらに圧迫する 可能性がある。そして金利が下落すれば、更なるドル安が発生する。

しかしここからが日本など対米輸出に依存している国家とは違うところである。ドル安は日本・中国からの輸入が大幅に減るが、しかし一方では海外のメーカーは、輸出が減る分アメリカ国内に拠点を移し、 アメリカ国内で製造を始める。現に、最近のドル安で、カナダから自動車などの製造業の多くがアメリカに戻ってきて、そしてその分野の雇用を伸ばしている。結局、消費パイが大きい為、今まで輸出でまかなっていたものを、国産でまかなうようになる だけである。そして雇用は増え、現在問題にあるサブプライムをはじめとする信用・住宅価格下落問題も時期に解消されてゆくに違いない。そしてアメリカ国民が日本人ほど国家に対し不安を持たないのは、人口が50年先でも増えているということであろうか。実際にカリフォルニアだけで見ても、過去十年で人口が10%以上増え、今ではカリフォルニア州一州でカナダの人口を抜いてしまった。 アメリカ生まれのアメリカ人の人口はさほど増えていないが、移民流入が急速に伸びている。911テロ後、アメリカに移民する人口は減ると見られていたが、これは結果的に大きな間違いであった。人口が安定的に増えているということは、今は供給過剰である住宅も、数年のうちに供給不足になる。恐らく2008年に 西海岸都市部の住宅価格は底を打ち、早ければ08年末には再び上昇を始める可能性がある。 しかし多くが投機目的で建てられたネヴァダ、アリゾナ、フロリダなどの住宅は08年以降も価格が下落するに違いない。

金利下落・エネルギー高騰を発端にドル安が続いているが、 もし今後ドル安に拍車がかかり、仮にドルペッグの中東諸国が独自通貨に移行するようになれば、アメリカは究極の選択とも言える、北米統合通貨に移行し現在のドルを紙くずにしすべてをチャラにしてしまう可能性がある。この北米統合通貨(アメーロ、アメリカンなど呼び名は未定)だが、すでにカナダ 首相・メキシコ大統領と可能性について意見交換を済ませている。 アメリカはドルが大幅に下落しても、国家維持の方策を既に模索し始めている。

来年の 株価に到っては、結局現在の水準程度を維持しているだろう。アメリカでは、団塊の世代をはじめ多くの人たちが年金を401Kという形で市場で運用をしている。結局政府は、どのような経済状況になっても、株価を維持し、この401Kを維持しなければならない。金融不安が出れば株価は一時的に下がるが、 もしそうなっても、連銀が大量の資金を市場に注入し、株価を安定させるに違いない。 現実にここ数ヶ月その様な連銀の方策によって株価の乱高下はあるものの、平均値を維持している。来年もその方向性は変わらないだろう。

今後のアメリカ経済ー政治においての未知変数はイラク・コソボ独立など国際状況とエネルギー問題である。冷戦時は、アメリカ、ソ連のバランス維持によって方向性を見出すことが出来きていたが、911テロ後、アメリカ主導による国際関係の秩序維持は困難になっていることから、以前のように紛争勃発以前にアメリカの軍事力・プロジェクションパワーによって事態の沈静化を計ることが出来なくなっている。そしてエネルギー問題。大統領選でもエネルギー問題に対しラディカルに問題にチャレンジしそうな候補者は居ないことから、アメリカのエネルギー政策は結局大きな変化は無いだろう。しかしこのことが、アメリカの化石燃料依存の体制から脱却できず、結局アメリカのライアビリティーになってしまう。ヒラリー候補が先日、アメリカは、中国から金を借り、サウジから石油を買っているがそれでいいのか?と支持者に演説していたが、その構造は、アメリカのインフラ・考え方・国家体制をより大胆に変化させなければ到底変えようがない。大統領・閣僚がその方向性でも、大企業は必ずしもそうではないからだ。

結局、強い政治リーダーシップ、人口増、内需拡大によって未知変数はあるものの、そう将来は悪くないのがアメリカの真の姿である。2008年は経済問題が底を打ち、様々な分野では成長が再び始まるであろう。

 

日本の2008年、そしてそれ以降...

まず来年からその後数年にかけて日本の将来の状況を計る上で、過去がどうであったかという事を知ることが重要である。多くの人が体験済みであるバブルの崩壊は、政策的な失敗が原因であることが明らかである。しかし問題は、バブル後の処理で、政策が後手後手に回り、結局景気が本格的に回復した体感を持たないまま、最近、再び景気が急激に下落を始めている。この間政治は安定していたように見えるが、世界的なスパンからすれば、小泉政権以外はすべて短命。何か政策上で成功したことはな く結局アメリカへの政策追随だけであった。この10−15年で多くの日本の富が海外に流出し日本から消えていった。

結局様々な構造問題はすべて先送りか小手先の調整の結果である。これは強いリーダーシップの欠如のおかげで、究極的には日本の議会政治・日本社会システムの限界でもある為だ。

日銀は、ここ数ヶ月利上げを見送っているが、今後は、利上げどころか、再び0%金利に戻る可能性すらある。欧米諸国は、金利を下げるだけの十分な幅があるが、日本にいたってはその幅・余裕は全く無い。 それ以前に、景気が完全に回復していなかったのにゼロ金利を解除したことが最近の景気腰砕けを後押ししてしまった。

日本経済・雇用を支える多くの企業は結局は対米輸出で成り立っている為、日銀は円高に誘導してしまう金利上昇は行えない。 ましてや政府の財政も先進国で最悪の為、金利上昇は借金が増え、しいては国債暴落、続いて株安、円の暴落とトリプル暴落を起こす可能性があるため、金利は上げられない。

しかし金利を下落させれば、市場に資金が増え、様々な投資が行われるのが正に経済テキストブック通リだが、実際はそうならない。なぜそうならないかといえば、本来は市場に十分な資金があれば、様々な分野で投資が進み、結果資金が循環するのだが、日本では今 、核となる購買層が存在しない為にこれが起きないのである。本来30−40歳代という世代は、住宅など大型の様々な消費をするはずだが、彼らはあまりの低所得で消費が出来ないでいる。今日本で一番の消費層は50歳以上の団塊世代であるが、彼らは、家・自動車とある程度の貯金資産があるが、彼らはもはや国内で消費はしていない。海外旅行で消費しているからだ。最近のツアーを見れば、どこでも団塊世代以上の人たちでいっぱいである。彼らは日本で手に入る物はすべて手にしてしまった為、今度は海外で消費をしているのである。これも内需における富・資金の循環を妨げている。

そして彼ら団塊世代の子供である世代は、OECD所得平均からすると貧困レヴェルである。将来が明るいと保障された親の世代とは違い、今後人口減 により社会保障・増税となることから、彼らは将来の負担増になる要素の消費・行動を一切しないでいる。 政府は少子化対策で、働く環境と子育て整備を重点的に行っているが、核心的な問題は、労働環境でも子育て環境でもなく、この世代以降の世代の所得がびっくりするくらい低いことである。それは団塊世代から富・資産の分配が起きていないからである。働き盛りの世代がリタイヤする世代より所得が明らかに低いことは消費が進まないのも当然で 、政府は問題の核心部と深刻さを全く理解していないことが更に本来消費を先導する世代を消費することから遠ざけているのである。

この世代は住宅をはじめ、自動車など内需に大きく貢献する耐久消費財に出費を出来ないでいる。これは、問題が人口減だけにとどまらず、いつか来るであろう相続、資産の継承が貧困世代である為出来ないことで、増税・社会保障・医療費増によって今後の将来が非常に不安な為、結婚すら出来ない状況である。 結婚し家族を持つことが人生最大のライアビリティーになっているという、国家としては最悪の状況である。この様な現状で、仮にドル安に移行すれば内需で補えられる考えるのは早計すぎる。既に核となる消費層が不在な為、円高となっても内需が活発化せず 、結局たいして輸入は増えず、現状は更に悪化するだろう。

さらに加えれば、団塊Jr世代が親の世代の犯してきた罪をよく観察・把握していることも、彼らが将来に対する不安を払拭できない理由のひとつになっている。これは最近日本を騒がせているニセ商品、ニセブランドという”ニセ”で、過去において相当規模 このニセ行為が行われていて、結局老舗と呼ばれる企業や上場大企業もすべて”ニセ・インチキ”によって利益を得て成り立っていた、という事実を知り、ますます社会に対して疑心暗鬼になっている。

仮に国内向けの大型投資が活発化しても、現状の法整備・モラル等では逆に将来に負担を増やすだけである。現実に、過去に団塊世代が20−30歳代時に行われた設備投資・公共事業はすべて手抜き・水増し請求・インチキ施工で、設計の耐用年数を大幅に割る設備の悪化が起きている。新幹線・鉄道などの橋脚・トンネル、高速道路の橋げた、橋梁、高層ビル、住宅、上下水道設備、ダム、空港と70−80年代に作られた設備・施設が一斉に崩壊しつつある。所詮20−30年程度の耐用年数しかないようなら住宅なら非常に高い買い物である。欧米の住宅が 最低でも50−75年以上持つのに比べ、日本では1/3程度以下の耐用年数、そして金額が欧米と等価もしくはそれ以上であるならば結局、手抜き・ボッタクリ ・粗悪な原材料使用・水増し請求によってその差が出来ているのである。世界中の先進国での住宅のトータルでの建築コストは、土地代を除き大体同じであることから。 、価格の差はそれらインチキ・ニセによるものである。

結局日本は、住宅・箱ものから、国家安全保障を担う兵器類、社会インフラとインチキなものをビルドアンドスクラップで作り続け、本来国民を富ませるはずを、国家がだけが富むように戦後からずっとそのような政策をしてきたツケが今回ってきたのである。

反対に アメリカでは、住宅の耐用年数が高く、かつ相続税が存在しない為、世代を重ねるごとに富が増えるシステムであるが故に、日本より安心して消費や結婚・家族を持つことが出来るが、日本のように世代を重ねるごとに富が無くなり貧困が増えるシステムだと、所詮、国が富んで国民困窮という先進国とは考えられない状況な るのである。

強い政治リーダーシップの不備が結局国を滅ぼしてしまうのである。

2008年は、その様な日本が抱える構造問題が、景気低迷と共に一気に社会に表れ、ここ数十年で最悪の年の始まりと成りかねないかもしれない。

日本は欧米に比べ08年だけでなく将来に渡っても、相当暗いというのが事実である。

 

最後に世界の状況だが、過去世界恐慌の後、数年で世界大戦になっているという恐ろしい事実がある。世界恐慌が始まると世界の国々では、自治・領土・資源・人種・歴史問題が多発 表面化する。一方で非常に大規模な公共事業が世界中で行われるが、しかし結局最後には世界大戦に突入してきている。

2007年後半から2008年末にかけ世界情勢に目を向ければ実は一触即発の状況が起きる可能性がある。コソボ独立、トルコのクルド侵攻、台湾独立の可能性 、北朝鮮核廃棄不履行、イラン核開発と、どれも、きっかけによっては世界大戦が起きてもおかしくない事ばかりである。過去の大戦でもその数年前に未曾有の大不況があり、その後、景気が戻らないまま大戦に突入、皮肉にも大戦の特需・内需によって景気が回復している事実がある。 これは日本も例外ではない。現在日本は平和憲法を固辞しているが、自分から攻めなくても侵略される可能性はある。竹島・北方四島・尖閣諸島と火種はある。

来年はその未曾有の大不況の入り口に当たる年になる可能性がある。これら世界各地に散らばる問題は、世界大戦のきっかけになるかもしれない。

このように、2008年・単年だけを見れば、間違いなく世界的に不安定な年となるだろう。日米欧と問題が続ぎから続ぎへと連鎖し、経済問題のみならず、国家の安全保障を揺す振られる事態も 起きるかもしれない。

まあすべてが、考えすぎ、取り越し・年越し苦労であれば良いのだが...世界中の誰もが、これは経済オピニオンから、連銀総裁、政治家から一般庶民まで世界中において破綻に近ずいているとヒシヒシと感じているのは、今がその前触れだからかもしれない。

おわり

追記

12月27日 630PST パキスタンの反政府派で元首相でもあるブッド氏が自爆テロによって暗殺された。すぐに市場では、パキスタンの混迷が中東に移行する可能性から、原油価格が再び上がり始めた。金も値上がりを始めた。世界では、様々な地域での地政学的リスク、エネルギーリスク、そして金融リスクと、取り越し苦労の話ではすまない状況になってきた。来年が本当に心配だ。

 

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