Rep. Journal, Sep 2007

Issued  Aug 2007

 

世界中の経済ニュースでは、アメリカのサブプライムローンを巡る問題から、中・長期的な景気の動向に対する懸念が出ていることを報道している。

現実に毎日のようにサブプライムローン会社が多額の不良債権を抱え破綻している。日本人には聞きなれた”不良債権”という言葉もアメリカで再び聞くとなると聞くとうんざりするし、再び日本型の長期不景気がやってくるのではないかと不安になる。それもそうだろう、アメリカに住む多くの人は今、経済的に限界状態にきているからだ。結果住宅ローンが払えず競売にかけられている住宅が10軒に1件以上あるというのは頷ける。地域によっては4−6軒に1軒が今競売にかけられそうになっている状態だという。

日本人にからしてみれば、どのようにバブルが起こり崩壊していくか身をもって体験している。現実にここ南カリフォルニアでも、バブルを経験した人は、住宅価格上昇時に日本でのバブル時のように多く住宅 を漁るが如くに投機目的で購買した人はそれほどいなかったと思う。しかし日系テレヴィでは、アメリカンドリームは住宅投機から..と言って投機に参加させようというセミナーや、日系・コミュニティー新聞では多くの不動産会社・リアルターが、今が買い時とばかりに宣伝を多くやっていた。しかし今となっては、テレヴィで流れる住宅関連のコマーシャルは、ローン借り換え関連が主になっている。一時有頂天になっていたに違いないリアルター達のブログを 今覗くと、”辛いですが、がんばってください”みたいな論調のページが多く見られる。これらのページを見ていて、逆に”がんばってください”が哀れに聞こえてならない。そもそも年収30−40年分ギリギリでやっと買える様な住宅に目がくらみ、リアルターにそそのかされて買ったは良いが、今になっては給料カット、若しくはいつクビになるかわからない状況が身の回りにいやというほどあったのに、その現実を直視できずに手を出した結果である。

どうしてバブルが起きるかは、もう日本人なら体験していることだ。お金は低いところから高いところに必ず駆け上る。それが、原油だろうが、金だろうが、株であろうが、住宅であろうがだ。その価格上昇の過程で必ず多くのサインが出る。そのサインは一時的なものであったり、数ヵ月後に影響の出るものだったりと、しかし多くの現場にいる人はそのサインを見ていても、分析せずに見過ごしてしまうのである。このジャーナルでもそのサインを幾つも紹介してきた。例えば、スーパーのレジ係が億 以上の住宅を手に入れている件や、あちこちでのデモ・ストライキ、そして指標と様々な現場の今である。

前回のアメリカにおけるバブル崩壊は、いわゆるITバブルと呼ばれる、ITセクターのヴェンチャー会社を中心としたIT株関連での株の大幅な下落である。それはインターネットを使った、それこそ夢物語に資金が集まっ たことに由来している。しかしそのITバブルが今の住宅バブルにも関連があると言うのは、あまり知られていない。それはそれだけ長期にアメリカにおいて一般心理を基にした分析を行なった人がほとんどいないからだ。日本のメディア・証券会社等のアナリストでは、ほとんど9割以上が指標を中心とした分析なので最近の、少なくとも911テロ以降の分析はほとんどあてにならない。そして今となってはITバブルの影響はセクター内では大きかったが、結局バブル崩壊後も世界中の景気に大きく影響するほどではなかった。それは、バブル上昇時にITセクター内で多くの会社は、自らのインフラ投資・拡充に多くの有り余った資金を投資してきたからだ。日本型のバブルは、誰もいないところに、交通のアクセスもないところにリゾートやホテルを作ったりした結果で、それらの”使えない”資産が結果不良債権となった。しかしアメリカのITセクターがバブル時に行なったインフラ投資は結局、現在使われているITの根幹を成すものになっている。 それが日本型バブルとアメリカ型バブルの大きな違いである

ITバブルが崩壊すると、資金の行き場を失ってしまった。そこで多くの資金が日本の株に流入する。アメリカのITバブル崩壊と引き換えに日本の株価の上昇が始まるのだ。しかしこれらの資金は、当然日本だけでなく、欧州や中国、ロシアにも流れる。この頃にいわゆるヘッジファンドが、株や会社の買収といった資金運用を本格的にする。ヘッジファンドは以前は外貨を中心とした運用だったが、アジア通貨の大幅な下落で十分儲けたので、 今度は株・M&Aに主軸を移したのである。そしてだぶついた資金は、株で儲けただけでなく、そもそもそれらの資金源多くは、金利ゼロ%の日本からのものであった。

そしてITバブル後に911テロが起きる。テロによって、アメリカの株価が大幅に下落。資金の行き場が再びなくなってしまった。そして多くの人が、ツインタワー崩壊をテレヴィで見て、人生この先何があるか判らない、愛すべきは家族、家族=住宅の確保となった。しかしその当時、NAFTA−グローバライゼーションの影響を肌で感じている人は非常に少なかった。大都市の近郊では、どこでも大規模な住宅建設の為の造成が始ま り、住宅建設が始まると住宅資材関連の株価が上昇を始める。そして当時の金利の低さが、多くの人に住宅購入の現実感を与えた。そして初期段階で住宅を購入したした人が、あと乗りの人達に購入した価格を大きく上回る価格で販売、しかし低金利のお陰でローンを組むことができ購入に至る。あとは、需要が供給を圧倒的に上回り価格上昇に至った。そして行き場の無くなっていた、世界中の資金が一気にアメリカや欧州の住宅関連に集まりだした。

このジャーナルでも何回も警告してきた。アメリカの最多年収帯の3−5万ドル程度では大都市では住宅は一生買えないと。これら大都市の平均住宅価格は、だいたい5−8十万ドルで、計算上ではギリギリ買える かもしれない。しかしグロバライゼーションのお陰で、今ではその年収を10−20−30年後も維持できているか非常に疑問な上、そもそもレイオフに合う可能性は非常に高い。そして物価上昇分を考えたら、大都市圏における住宅価格は明らかにオヴァープライス・オーヴァーヴァリュー若しくは、購入者の年収・資産が低すぎる、である。これら購入者達は、購入に際し身の回りに購入を考えさせる現象が起きていることを一度は見たに違いない。自分の場合は、外回りが多く、多くのショップ・様々な業界の人と接することが多い。ここ数年間で見られる現象は、1白人を解雇し、3人ヒスパニックを雇うと言うものだ。つまり、仕事量 を3倍こなせ、経費が以前の白人1人を雇うのと同じ計算になる。そしてこれら雇われた新規のヒスパニックたちに対する保険等のメディケアー等の保障は無いので、会社側の経費負担が減る。つまり経営層は更に高給を得 ることができ、労働者達は更に低賃金となる計算で、恐らくこういう構造が世界中の先進国で起きているのである。そのような現状で20−30年後も今の年収を維持している可能性は非常に少ない。つまり、このジャーナルで何回か言ってきたことだが、結局、富の分配が起きていることになり、今後中国・インド・ロシア・ブラジルなどの新興国の影響で、さらにこの富の分配が行なわれるに違いない。

最近増えている、住宅ローン破綻で、サブプライムと呼ばれるローン会社が多く破綻している。このサブプライム会社は、ローン申請者の所得や資産を十分に審査せず、頭金も十分にとらないで、住宅購買においてほとんど言い値の資金を貸す。そしてこれらの会社を利用する多くの人は、信用力の弱い人=移民と思われがちだが、実際は多くのアメリカ人(白人)が利用していて、60%(半分強)はアメリカ白人のローン申請者である。しかしこのサブプライム問題は一巡すると、次は手堅いと思われてきた プライム金融会社も破綻 ・業績悪化に瀕する可能性がある。 それに多くの投資資金がゼロ%の日本に由来する為、日本銀行が金利を上げれば、その余波はサブプライムープライム金融全体に波及し、住宅関連のローンだけでなく。日本のバブル時のように、他のローンにまで波及、貸しはがしが起こる可能性もある。もうそうなると、規模レベルで日本のバブルを越えるようなバブル崩壊が起きる可能性を秘めている。

メディアでは、このバブル崩壊がいつ終るかと言うことに話題が集まっているが、少なくともアメリカ大都市圏の平均住宅価格が3−4十万ドル程度になるまで続くと思う。結局人々が住宅を買いうる金額まで下落を続け、その間サブプライムは破綻を続けるということになる。そしてそれを後押しするのが、原油価格等の物価である。しかしこれらも、数年のうちに、価格が下がるような状態ではないので、結局住宅バブル 崩壊は、人々が安心して住宅購入が出来うる水準まで続くことになる。物価が容易に下がらないとなれば、金利は容易に下がることはない。短期金利に関してみれば、少なくとも年内は同率ということだろう。

そして心配要素は、アメリカだけでなく、欧州においても住宅価格がここ10年で倍になっているので、どこかで価格調整・バブル崩壊が起きるということや、結局日本の景気はアメリカの住宅バブルによって回復したようなものであるということだ。最近では、アメリカでの住宅問題が出るや、それに比例して 日本の景気が悪くなっている。アメリカでは明らかに調整局面に入ったと思われるが、今後欧州が調整局面に入ると世界的な不況になる可能性が高い。 それに意外なのが韓国である、韓国は日本から非常に多額の資金を調達して、北米を中心に住宅などに多く投資した為、住宅価格の下落は、即不良債権を引き起こし、日本に借金を返せなくなる可能性がある。労働力や資金の移動・量がますます 拡大・容易になってきているので、以前に増してより一般人の心理・指標に目を配りたいものだ。

おわり

 

追記

Aug 09, 2007

ちょうどこのジャーナルを書き終え、アップロードしていたら、欧州中央銀行が15兆円越えの資金を市場に供給したニュースを目にした。いわゆるアメリカのサブプライム問題が欧州に波及と報道していたが、今は欧州系の金融機関・ファンド系の北米オペレーションにおいての問題表面化だが、今後問題は”波及”ではなく欧州での住宅価格市場調整という本格的な現象に移る可能性が高い。そして、欧州の金利・為替が大きく変動する可能性も高く、 アメリカ・欧州共にサブプライムからプライムにローン破綻が移行してゆくだろう。北米・欧州・日本と目が離せない状況になってきた。

Aug 10, 2007

昨日に続き、連日欧米の中央銀行による資金供給が続くが、どんなに資金を中央銀行が注入しても、末端の一般人のローンが返済が出来なくなっている状況に変わりはない。何兆という大量の資金をどんなに市場に注入しても、個人収入は増えないからだ。昨日ブッシュ大統領は、金融会社に、ローン貸付者に対し、フレキシビリティーを持って対応するようにしてほしい、と説明しているが、日本のバブル崩壊時も、金融セクターに危機感が出たときにフレキシビリティーも何もない。グレーな債務に対し、金融業界が行なうのは、徹底した貸しはがしである。どうやら2010年世界大恐慌の扉を今、開けたのかもしれない。

Aug 13, 2007

一般ニュース番組では、FRBは金利を緊急的に下げる可能性があると報道している。しかしWSJなどの経済番組では、金利は下がらない、むしろ年内維持か上昇の可能性と、結局シグナルとしてはミクスされた状態だ。個人的には、金利は上がりも下がりもせず現状況を維持だと思う。というのは、住宅などの大型ローンを組んだ人々からすれば、今の金利は高いと思うだろう。しかしそれは賃金の上昇が行なわれられていないだけで、妥当な水準若しくは若干低いぐらいである。むしろ大型のローンを組まなかった大部分の人には、今の金利は低いと感じている。それはガソリンをはじめとする、様々な生活必要品・光熱費等が上げ止まったままで、賃金上昇はしていない。結果様々な業界ではストライキが行われている(大都市の交通局・スーパー・製作所等) 物価上昇が続く以上金利は下げられない。もし下げれば、ローンに関係なく、物価上昇がさらに起こり、全米の家庭を直撃、景気の指数を大幅に下げるからだ。現状の指数は、景気がいいことになっているが、実際は雇用が1人が3人になっただけで。1人が10消費するところを、3人が4ずつ消費し、トータルが12となっているだけ。指標上は良いが、実質悪化している。あと数十分で、ニューヨークストックがオープンするが 、多くのメディアでは、今週多くのファンドが解約され現金化に向かうので、更に株価が下がると見ている。さらなるローラーコースター状態が起こるかもしれない。

Aug 16, 2007

予想の通り株価連日の暴落である。しかし問題は、いつボトムアウトするかではないような気がしてきた。それは、ファンド・株式から現金化された資金がどこへ向かうか判らないからだ。現金化された資金は、投資先を探しているに違いない。資金が為替に移行し、弱い通貨が再び餌食になるか、それとも再び原油・穀物などのコモディティーに移る可能性もある。もしそうなると、物価が世界的に再び急激に上昇する可能性もある。そして、PBS-NBR-Nightly Biz ReportをはじめWSJなどの経済メディアでは、政府・世界中央銀行の介入を懸念している。それは、ダメな金融機関をゾンビの様に長らく生き残らせる可能性があるからだ。日本でもバブル時に、不必要にダメな金融機関に多額の税金を無駄に注入しし、バブルからの回復を大幅に遅らせた経験があるが、アメリカでは日本の時のような経験がないので、とりあえず資金を市場でジャブジャブにし金融機関が資金切れを起こすことがないように動いているようだ。ただどんなに資金を注入しても、個人収入が増えるわけではないので、結局長い目で見れば、破産すべき金融機関は破産するだろうし、ローンの支払いが出来ない住宅は、日本のバブル時の様に叩き売られることになるだろう。そして、また心配事が出来た。それは今後発生するであろう、幾つかのハリケーンの動向である。場合によっては、原油価格高騰が再び起こり、年末にかけ大荒れの世界経済になりかねない。

Sep 19, 2007 (3:30JST)

先ほどFRBが.5%の金利カットを行った。日本時間で午前3時15分ごろのことであった。それに伴って、ウォールストリートでは、300ドル以上の急騰である。今回の金利カットは、実は非常に微妙な経済状況での判断だった。実体経済は調子がいい上、原油・穀物などのコモディティーの価格も上昇中でまさに、インフレ懸念が消えないでいた。しかし株式市場では、いわゆる世界的なサブプライムの影響で下降を続け、今後もこの影響が続くと見られていた。つまり世界的にデフレ懸念も出てきたということだ。自分を含め多くの人は、金利は変わらないであろう踏んでいた。またそれと同じように多くの人は金利低下を望んでいた。しかし日本での状況を思い出してほしい。バブル崩壊後から、金利がズルズル低下し、最後には0%になった。つまりインフレの反対デフレであった。この状況がアメリカにも起こる可能性は無いとはいえない。今回.5%下がったことで、次回FRB会議では様子見となるだろうし、もしかすると当面金利が変わらない可能性もある。また他の可能性として、コモディティー価格が世界的に続け、金利が再び上昇する可能性もある。つまり、世界的状況を考えると未だ、金利を上昇させることも下落させることにも躊躇がある状況には変わりない。そしてもっと重要なのが、エネルギー・コモディティーの価格が上昇し、所得が下がるとなると、生活がもっときつくなるということである。今は、そういう状況の入り口にいるといえるのである。それとはちょっと関係ないが、面白い資料がある。それは金利下落後の1ヶ月間でもっともその恩恵を受けるセクターは金融界であるということだ。そう考えると、今回の金利下げは、明らかに消費者向けではなく金融界救済にFRBが動いたとも言えなくは無いだろう。

 

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