Rep. Journal, August 2006

Issued  August 2006

 

  我々の住む世界では、地球温暖化により、豪雨や酷暑、ハリケーンの襲来や竜巻の発生と全くろくなことが無い。自分の生活するロサンジェルスでも、夏は酷暑、冬は大雨と昔のLAはどこへ行ってしまったのかという感じだ。道路は常に大渋滞、物価はどんどん上昇し、人々の間では様々なストレスが日常に潜んでいる。それが爆発した時に犯罪となるわけだが、テレヴィでは毎日のように、高速道路でのハイウェーチェース を放送、逃走する犯人が車ごと事故を起こすライヴ映像が何より視聴率が稼げるプログラムになっているし、また報道に目を向ければ、中東で毎日のように女・子供が自爆テロにより死亡なんてニュースも飽きるほど聞く。もまあそれが人生で、それがライフであると言われれば全くその通りである。

しかしこのジャーナルを読んでくれている人は、この世にはもう一つの我々の世界があることをご存知であろうか?我々が作り上げている世界である。作り上げている...即ちまだ途中 の発展途上である。その世界では未だテロや大規模な戦争、天災は起きていない。しかしその世界と我々の世界では不思議なリンクが既に起きている のである。

アメリカでは数年前シム・ピープルというゲームが発売された。あくまでもPCゲームである。そのゲームでは、コンピューター上というヴァーチャルな世界に我々の仮想の世界が広がっている。ユーザーはあるキャラクターを選び、彼がその仮想の世界で暮らして行くというものだ。単体のコンピューター上でその様なゲームを幾らしようがさした問題は起きない。しかしそれが世界中を結んだ大規模な物のなると、我々が想像していた以上のことが起きる、またはその可能性がある。

つい10年前にインターネットは実用段階に入った。当時インターネットはコンピューターオタクのするもので世界を変えるほどのものにはならないと多くが自分に語った。特に日本では電話回線などインターネットの普及に繋がる障害が多くあり、国民一般に実用的になるまでは相当の時間が掛かるといわれた。今から考えれば、国民のインターネットに対する意識や心にの中にあった壁は信じられないほど高かった。しかし当時実用という意味では2−3歩も先を行っていたアメリカでは、現実に生活のツールとして機能し始めていた。飛行機の機体にウェブアドレスの広告を載せたり、様々なアイデアが広まっていった。たった10年でここまでなったのだ、今後の10年は過去の10年よりもっと速いターボ的なスピードで更に進化していくであろう。

最近アメリカではオンライン上でシム・ピープルのようなゲーム感覚の"Second Life"が話題を集めている。内容はPCゲームのシム・ピープルと全く同じだ。しかし大きく違うのは”セカンドライフ”ではPCゲームとは違い現世界とリンクした形で経済活動などの人間活動が行なわれていることだ。PCゲームでは、最初にソフトを買うコスト以外は基本的にかからない。その後ゲーム内では様々な物品の購買が発生するが、所詮ゲームである、タダだ。 そしてPC単体でのゲームなので、電源を切ってしまえばゲーム自身先の展開は無い。

しかしこのセカンドライフは違う。 まず世界中が繋がっているオンラインである。アクセスしているコンピューター単体が電源を切ったところで、別世界内では毎日毎日進んでいる。ちょうどインターネットと同じだ、自分が止めても、誰かが世界中でアクセスをしている。またユーザー 1人がキャラクター・アヴァター1人をセカンドライフに配置している。つまりゲームのように何人にもなったり、飽きたからと言って、違うキャラクターを演じることは出来ない。セカンドライフに存在するキャラクターは自分の生き写しといっても良いかもしれない。ただ現世界には存在しない。あくまでもヴァーチュアルな世界にである。

...10年以上前、インターネットに存在・進出してくるであろう仮想商店街・モールの話を銀行や当時の上場会社の人達に話したが、なかなか理解されなかった。所詮コンピューター内の物であると同時に、それらを想像できなかったのであろう。しかし彼らは過去10年間苦労したに違いない。 その様なことが実際起こり、頭の整理と同時に自分の身の振り方を考え直さなければ、今後社会にはついて行けないからだ。しかしこの10年、国民のと社会での整理がやっとついたのであろう。今ではインターネットは人々から切り離せない存在になった。 しかしこのセカンドライフ、インターネットとは違いそこには感情・知性が生まれる可能性がある、インターネットは所詮道具だが、セカンドライフは違う、それを考えるだけでインターネットよりよっぽど想像することが難しい のは事実だ。

しかしこのセカンドライフは潜在的に社会をインターネット的に変える可能性を秘めている。セカンドライフは現在100,000人が”別世界”で暮らしている。彼らは世界中の現世界から生活の場を与えられた人たちだ。セカンドライフで暮らすには毎月10ドルが必要だ。これは現世界のクレジットカードを現世界にあるセカンドライフをコントロールしている会社に振り込むのである。まあこれは会費みたいなものだ。ところがセカンドライフでは生活に必要な様々な物品を購入しなければならない。購入は現世界のクレジットカードを使う。服だったりアクセッサリー、自動車、我々が生活に必要なものは沢山ある。ところがこの生活必需品を販売している会社は現世界に存在する会社である。現世界では同じような商品を売っている。しかしこちらは物理的に存在するものだ。

セカンドライフでは海辺に家を建てたり、大都市に豪邸を建てたり、近郊で人並みの生活をしたりすることが出来る。しかし土地や家・家財道具は全て購入しなければならない。購入費用は現世界のクレジットカードを使う。

現世界で商売をしている人はセカンドライフで商売をすることも出来る、セカンドライフで生きているキャラクター相手の商売である。キャラクターをより人間に近い見かけに変えるキットだったり、服、アクセサリーと我々が現世界で想像できるものは全て出来る。しかし物理的な原料コストは掛からないが、コンピューターで服をデザインをしたりと労働コストは掛かるので、現世界ほどの値段はしないがタダではない。つまりセカンドライフで販売する仮想の物品はすべてデザイン ・コンピュータープログラム料と考えればわかり易い。現状では既にセカンドライフ内だけで、全世界6億円相当の売買が行なわれているという。仮想の世界で販売・消費するため に現世界で労働をするという不思議な状況が現れ始めている。

そのうちセカンドライフ内に存在する人たちが知能や感情を持ち出したらどうなるのだろうと思う。現在は現世界の人間が指示を出してそれに基づいてキャラクターは行動をしている。ただあるショップが 人工知能キットなるものを販売し出したら、彼らは少しずつ知能を持ち始めるかもしれない。彼らが彼らの意思で仮想の物品を現世界の我々にオーダーをしてくるかもしれない。気持ち悪いぐらいに怖い。セカンドライフにとどまらず、サードライフ、フォースライフと違う世界を作ったらどうなるのだろうか? 銃や武器を販売する会社が現れたらどうなるのであろう?セカンドライフでの犯罪が現世界にまで及んでしまうのではないだろうか?

     

そして現実に中国ではセカンドライフが絡まる犯罪が起きた。セカンドライフ内での商品の売買がうまく行かず、現世界の人を殺して、無期懲役になってしまった例だ。セカンドライフ内でのキャラクター同士の喧嘩が現世界に波及してしまった例である。このセカンドライフはシム・ピープルというゲームでは考えられなかった将来・問題が現世界にいる我々に投げかけてきているようである。

しかし経済活動という意味では非常に面白い可能性を秘めている。例えば、セカンドライフ内で走行する車をトヨタがデザインし販売したり、セカンドライフ内にコンビニが現れたり、大規模なモールの出現 したりだ。映画館や遊園地も出来るかもしれない。旅に出るには飛行機や鉄道といった乗り物も必要である。人間の考える全ての産業がセカンドライフでは必要になる。ただ現世界からセカンドライフへの一方通行なビジネス展開は考えられても、逆なパターンは考えられない。我々の世界での商売は圧倒的に効率が悪いからである。セカンドライフでビジネスをするために現世界で希望を集い、販売・消費をセカンドライフで行なうというパターンしか思いつかない。ただ逆のパターンという意味では、セカンドライフにいるキャラクターに逢おうというイヴェントが数ヶ月に一度アメリカで開かれている。当然セカンドライフのキャラクターは現世界の人間ということになる。セカンドライフのキャラクターを作った世界中の人達が集うのである。そしていつかセカンドライフで愛し合ったカップルが現世界でも愛し合うなんていう話もいずれ聞かれるかもしれない。

ただ現実が嫌で仮想な世界を作っても、いずれは我々人間のエゴがセカンドライフにも波及するのではないだろうか?いずれセカンドライフ内でテロや戦争が起きるかもしれない。仮想に存在するビジネスも、破壊されれば損害が生じてしまう。やはりどんな理想を求めても所詮人間が作り出したものであるには変わりは無い。ただ近い将来 ヴァーチュアルな世界に進出できる頭脳をもつ企業や個人がこれからは必要とされるのかもしれないし、セカンドライフに子供がいるんだよ、なんていうことになるかもしれない。 やはり人生は一筋縄ではいかないようだ。

 

おわり

今回のジャーナル内にあるイメージはすべてシム・ピープルのもので、セカンドライフのものではありません。

 

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