Rep. Journal, Oct 2005

Issued Oct 2005

 

郵便ポストを覗いて見ると郵便局から案内のメールが着ていた。いわゆるダイレクトメールだ。アメリカは世界でもっともダイレクトメールが発達していて、その数はすごい。1週間も家を空けておくと、郵便箱はメールで一杯になってしまう。無論9割以上がダイレクトメールだ。日本ではダイレクトメールはそれほど発達していない。確かにジャンクなダイレクトメールは日本にも沢山あるのだが、アメリカのは日本の比ではない。日本ではチラシは購読している新聞に多く入ってくるのだが、アメリカでは郵便箱に直接入れられるケースが多い。

ところでこの郵便局からのダイレクトメール、よく読んでみると色々なことを考えさせられてしまった。何を考えさせられたかと言えば、日本の郵政民営化のことである。 日本ではそろそろ国会で郵政民営化法が議会を通ろうとしている。この夏大論議となった選挙も郵政民営化が基であった。郵便局からのダイレクトメールにはディスクが同封されていた。説明にはCDロムをコンピュータに挿入しインターネットに接続することによってオンラインで口座が開けますという。口座とは日本のような金融物の口座ではなく郵便物のものだ。口座を開くとオンラインで切手をプリンターでプリントアウト、即に郵便をポストに投函できる。またパッケージや国際郵便ですら問題なくあつかえるという。そして今口座を開くと、$25分の切手代、封筒などの備品、そして電子はかりを無料で差し上げます、というのだ。当然口座を開くのは無料だ。

世界中ではインターネットの発達によってオンラインショッピングが大盛況。インターネットが出来始めの頃はインターネットが物流を破壊するといわれていた。ところがインターネットが出始めてからおおよそ10年が経つが、物流は逆に大幅に増えた。それはインターネットが人と人をより密接に近 づけ、物品に対するアクセスを増やしたことが大きい。昔には何か商品を個人レベルでアメリカやヨーロッパから輸入するのは非常に難しかった。今では旧共産圏から珍しいものまで手に入れることが出来る。これでは世界中の郵便・物流は増えるのは当然であろう。

...ところで日本の郵政民営化。内容はまだ釈然としない。具体的にどうなるのか分かっている個人は非常に少ない。郵便事業のほか金融部門と窓口部門が分離する、銀行業務のほか証券なども販売するなど、業務多様化になるようだ。しかし具体的に郵便局が減るのか、郵便そのものの値段はどうなるのか、などなど。しかし民営化しても業務の分割化だけで効率がよくなるとは思えない。核である郵便業務をいかに効率よくそして利益を上げることが何よりなのだ。そこでアメリカの郵便局で行われてきたことが少なからずとも参考になるはずだ。

アメリカの郵便局は元は日本と同じように国営だった。万年大赤字で、郵便事業が国家予算の足を引っ張る形になっていた。ちょうど旧国鉄のような存在だ。労働組合が肥大化し業務は非効率。しまいには郵便局職員が郵便物をゴミ箱に捨てるまで荒廃していた。局員の態度は非常に悪く、まさに客に喧嘩を売っているようだった。10通ほど出した郵便の2−3通は必ずといっていいほど届かない。多くの人は、高いにもかかわらずUPSやFEDEXなど民間の宅配業者で手紙・書類を出していた。90年度前半まで国営だった郵便局では郵便物 や切手・小切手を盗む窃盗、客を脅かす恐喝などで多くの職員がFBIに逮捕された。その後アメリカでも日本と同じような論議が起き、遂に郵便局の公社化が決まった。完全民営化・部分国営化・公社化など様々な案が出されたが、組合 の反発が強く、公社化で決定。職員は今までのように完全連邦職員制から、契約制になった。これによって今まで連邦政府が全てを支給していたが、給与などは民間の会社のように能力制も取り入れられた。 身分は一応今でも準連邦職員ということになっているが恩給・年金など大幅にカットされている。これによって国家公務員の経費を大幅に削減することが出来た。各郵便局では他局間との競争を強いられるようになり、評価が数年続けて低いようだと局が廃止されるなど対顧客に対する満足度も高められた。しかし公社化になってから国営の時より頻繁に郵便料金が上がるようにもなった。

日本でも国家予算に占める公務員の人件費の割合は非常に大き い。日本全体の国家予算は一般会計、特別会計と2重3重になっていて、実態を把握することは難しいが、一般会計が83兆。そのうち税収入は47兆。公務員は全国に約300万ほどいるから、これを単純に割ると平均年棒が1000万円ということになる。つまりおおよそ30兆円ほどが人件費だけで食われていて、国家予算・一般会計の税収入分の8割を公務員の人件費に当てているということになる。分かりやすくいえば、1億3千万近くの国民が300万人ほどの公務員の高収入を支えているということになる。しかしこの上実際は水増し請求、無駄な建物じゃんじゃん、退職金ぼったくりで、税収入をすべて彼らに吸い上げられているのが実体。これでは社会保障は成り立つわけがなく、国家公務員の中でも最大の数を誇る郵政関連を民営化にするのは避けられない事実で、ドイツ・カナダ・アメリカなどの他の先進国でもそうされてきた。

これら公社化されたり、民営化された郵便局は知恵を出し合って、経営をはかってきた。 郵便局が減った分、ポストを以前より多く配置。郵便局の郵便業務は酒屋やスーパーの一部でも取り扱うようになった。これによって廃局になった影響を最小限に抑えた。 郵便局ではロゴを新たに作り一般に訴えかけた。自動車のレース、自転車のレース、テレビでの宣伝とアピールを重ね、民間の宅配業者と同じように市場で勝負をしていった。

郵便局がスポンサーとなったアームストロング選手はツールドフランスで例年優勝し郵便局の存在を高めたり、 ナスカーやインディー、デイトナといった名自動車レースでも大きなスポンサーとなり、各地のゴルフの中継ではスポンサー枠を全て買い取り、宣伝は郵便局のみといった大胆は作戦も試みられた。おかげで郵便局はインターネットの発達と共に、取り扱う物流網を増やしていき、とうとう赤字から脱することが出来るようになった。

日本の郵便局でも、日本各地の珍しい食品をゆうパックで届けるなど、独自のサービスも開始している。また郵便局と民間の宅配会社がコンビになり都市間の郵便を宅配業者が受け持ったり、また僻地では宅配業者の荷物を郵便局が受け持つなども行っている。これはアメリカの郵便局が公社化になって、郵便局ーFedex連合が出来たのを日本で導入したパターンといえよう。郵便局の翌日配送 郵便はFedexの飛行機を使って運ばれ、陸路・トラックで運ばれるエコノミー便はFedexのトラックを使って運んでいる。これによって都市間物流の経費が大幅に削減できた。

そして対企業物流の分野にも大きくシェアーを伸ばすべく、大規模なセールス活動を展開。インターネットのオンラインショッピングサイトで商品の発送をすべてを郵便局が受け持つよう口座拡大活動も熱心だ。企業のダイレクトメールをはじめとする物流において多くの企業が過去10年間の間にFedex, UPS, DHLに鞍替えをしたが最近では郵便局に多くが戻っていったのも事実。それは今まで郵便到着日や時間を保証していなかったのを、保障するようにし民間の物流会社と同じような機能を持たせたことが大きい。同じ内容なら誰でも安い方が良いに決まっているからだ。

また最近の原油高は民間物流会社を圧迫、飛行機やトラック群といった物流機能を全て持つ民間業者は規模が大きいだけに経済的に圧迫される分も大きい。UPS,Fedexのような物流ハブをもつ会社はとりわけ圧迫されているようだ。これに比べ、郵便局自身が唯一の大規模設備の郵便は経費がこれら民間業者に比べ少ない。最近ではこれら民間物流会社が以前の郵便局のように自由度・融通の利かない・カスタマーサービスが悪いといった体質になってきている。やはり民間企業も巨大化すれば国営企業と何ら変わらない体質になってしまうようである。

最近郵政法案が衆議院で可決され、今度は参議院に送られた。日本の郵政改革は世界の先進国の中では一番遅く始まった。しかし遅かった分世界中の郵政改革の成功・失敗例もじっくり研究でき たはずだ。 そして多くの国民は郵政民営化そのものには賛成だが、全体像、実体が掴めておらず不安は残ている。アメリカやカナダの北米型公社化が日本の郵政の将来像なのか、それともドイツなどの欧州型民営化が最終的な将来像なのか、参議院においては早く全体像と最終目標を明らかにしてほしい。

おわり

 

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