Rep. Journal, Apr 2005

Issued Mar 2005

 

飛行機をよく乗るものにとってカスタマーサティスファクションー顧客満足を徹底している飛行機会社は実にうれしいものだ。旅をする上で必ず思い出のひとつになる飛行機。乗る飛行機の航空会社のサービスの違いによって、初めて訪れる街の印象すら変わってしまうものだ...

最近、航空顧客によるカスタマーサティスファクションのアンケート結果が公表された。しかしただのアンケートの結果と思いきや、そこには様々な航空会社の抱える問題、姿勢、戦略が浮き彫りにされていることがわかった。最近の急激な原油高によって航空会社の生き残りは更に激しさを増している。単に飛行機を飛ばしていれば儲かる、という時代はとっくに昔のことになった のだ。

アンケートの結果、カスタマーサティスファクション#1は、JET BLUE AIRLINES, #2は、SOUTHWEST AIRLINES 

この2つの航空会社は共にいわゆる地方航空会社だ。大手のアメリカン・ユナイテッド・デルタとは明らかに国際的な知名度は低い。しかしアメリカ国内では両者共に非常に知名度は高く、単に健全な航空会社のモデルだけでなく物流など旅客航空業に似ているシステムをもつ産業のモデル 会社ともなりつつあるのだ。アンケートで両者は1位と2位になったわけだが、ではどうして世界最大手のアメリカンやユナイテッドが勝てなかったのだろう。

大手が勝てない理由は、これらの航空会社を使ったことがある人は、だいたいピンとくる。特別な航空アナリストでなくても大体はみんなの思っている通りである。

”態度・サービスが悪い”ということである。

しかし態度・サービスが悪いのは単純に彼ら・彼女らが悪いのだろうか。それともそういう連中を雇う航空会社が悪いのだろうか? 問題は幾重にもあるが、だいたい大きく見ると、1)ユニオン 2)コスト意識 3)運行状況 4)メインテナンス といったことが浮き上がってくる。しかもこれらはお互いに密接に絡み合っているので、状況がより複雑になっている。

ユニオンといえば組合のことだが、航空産業では組合が沢山ある。それは客室乗務員の組合、パイロットの組合、飛行機整備組合、室内メインテナンス組合など多岐に渡っている。航空会社は勝手に取り締まり会を開いて物事を決めることはほとんど出来ない。すべての決議は組合が握っているようなものだからだ。組合もそのことをよく知っていて、ストをちらつかせ強引に物事を提案してゆく。例えば客室乗務員組合の場合。加入している乗務員の態度は悪いことはよく知られている。乗客が乗務員の態度が悪いのを会社に報告をしても、会社は乗務員を解雇に出来ない。バックが組合だからである。また太平洋・大西洋便など長距離路線でよく見られることだが、アメリカの航空会社の便だとトイレ・いすなど施設・備品が壊れていることが多い。これはどうしてかというと、乗務員が簡単な補修・修理をしないからである。彼らは修理屋・メンテイナンス屋ではないと思っているからだ。また彼らは、簡単なトイレ掃除や通路の掃除もしない。だから長時間フライトになると到着時にはトイレは汚く、通路はごみだらけだ。このことは一見たいしたことではなさそうだが、飛行機というのは空を飛んでいないと金を稼げないのだ。メンテイナンス・補修・修理で駐機してしまうと、収益が著しく悪くなる。このように、メインテナンスが行き渡ってない飛行機のメインテンス日数・費用はかさむのだ。

少々個人的な感情問題も入ってしまうのだが、アメリカの大手航空会社の乗務員はなぜか年寄りが多い。これは見栄えだけの問題でなく、実はセキュリティーの面で大きな問題がある。たとえば、高度10,000メートルで何かあった場合、彼女らは迅速に行動が取れるのだろうか?組合に言わせれば、彼女らは経験があるから大丈夫という。しかし一般の目はふしあなではない。搭乗時から彼女らの行動パターンをよく観察してみるといいだろう。自分勝手で乗客サービスなんてあったものではない。また年寄りを馬鹿にしているわけではないが、彼女らが組合に入って幅を利かせている以上、若手が育たないという現象も起きている。会社が”ベテラン”を一定の年齢で空から退かせないので、若手が増えず、ますます空においては年寄り乗務員が増えていくのである。その結果、コスト意識・安全・メインテナンスといった当たり前の行動が航空会社は取れなくなってきている。

その点、ジェットブルーもサウスウェストも体質は全く違う。空港のカウンター係は、当然チェックイン作業もするが、終了すると荷物を飛行機に積んだり、機内食・新聞などアメニティーの補充を手伝う。飛行機は目的地の空港に到着し乗客を送ると直ちに、パイロットを交えて客室・トイレの掃除に全員でとりかかる。補修必要箇所は、フライトクルーが自ら修理する。飛行機のエンジン・油圧系はパイロットが短時間に十分でチェックする。彼らは1年もすると自分の乗るモデルの飛行機のウィークポイントや状況を音・匂いなどで把握することが可能になるという。自分達で飛行機を守るという精神は結果、 従業員が自分達の飛行機に愛着を持たせ、自分の会社に対するロイヤルティーをも増やさせる効果があるのだ。

ブルージェット・サウスウェストともに力を入れているのが、アメニティーの充実である。ジェットブルーの客席はすべて革張りだ。またすべての客席には、今では多くの飛行機で見られるようになった、フライトエンターテイメントシステムが装着されている。実はこのシステムブルージェットが最初にすべての飛行機に装着したのだ。サウスウェストでは、フライトクルーのユニフォームをカジュアルなジーンズにし、よりクルーの客に対する威圧感を減らした。アメリカ人の多くはスーツ姿の威圧感のユニフォームに距離感を感じる からだ。

アメリカでは飛行機会社を選ぶひとつのポイントとして、定時出発・到着率と価格を揚げる乗客が圧倒的に多い。アメリカの国内線ではどんなに長くても5時間半である。態度がいくら悪くてもマックスで5時間ぐらいなら我慢できる。食べ物がいくらまずくても、到着した地でおいしいものがいくらでも食べれる。でも価格と、定時率は我慢がならないのである。極めて当たり前だ。大手がいくらナイスディールを出しても、乗換えが多いとか、いつ着くかわからないような便では困るのだ。今時、いつ着いてもいいという乗客はいないのだ。実はこれが大手とブルージェット・サウスウェストを大きく隔てている点だろう。

大手はハブスポーク制を採用している。ハブスポークとは、拠点をいくつか全米に作り、その拠点から中小の都市にスポークが伸びているように繋がっている。拠点間の便は比較的充実しているが経由便が多い。例えばニューヨークからロサンジェルスにユナイテッドでいく場合、多くの便はニューヨーク発シカゴ経由ロサンジェルス行きとなる。コンチネンタルでワシントンからサンフランシスコに行く場合、すべてがヒューストン経由となる。ボストンからシアトルにデルタでいく場合、アトランタ経由となる。フィラデルフィアからシカゴにノースウェストでいく場合、ミネアポリス経由となる。つまり実際は短距離でも、経由によって倍以上の時間がかかってしまうことがしょっちゅうだ。朝の6時のフライトで経由便でピッツバーグからサンフランシスコに向かう場合到着は夜の9−10時到着なんていうのもざらだ。

上のチャートはユナイテッドの路線図だ。赤点のシカゴ・オヘアとワシントン・ダレスが中東部の拠点としている。黒点は、ほとんどがそれぞれの拠点からの路線就航地となっている。 ワシントン・シカゴ間はひっきりなしに飛んでいるがそれぞれの拠点から小さい街への就航数は少ない。例えば、ワシントンからデモイン・アイオワにいく場合、シカゴを経由地とし、そこで乗り換えなければならない。シカゴでは乗り換え時間が少なければいいが、たいがい待ち時間は長い。しかもシカゴ・オヘア空港は全米一飛行機の定時出発・到着が出来ない空港で、フライトがキャンセルになってしまうと、それこそ到着はいつになるかわからない。

これはジェットブルー路線チャートだが、こっちは東部の拠点ニューヨーク・西部の拠点ロングビーチをそれぞれ基点とし、単純往復しているだけだ。ラスベガス・ソルトレークなどの街は、経由地のように見えるが、これは両拠点からの終着点で、これらの街を経由しているわけではない。ジェットブルーの便はどこかの経由地を使ったり、到着地で機材を入れ替え、違う目的地に向かう大手のやり方をしていない。また重要なことは、ジェットブルーとサウスウェストの飛行機は小型のボーイング737型を使用。このモデルを大量に使うため、メンテナンス・スペアーパーツが大量に安価に入手できるのだ。またジェットブルーの西の拠点ロングビーチは、空港の敷地内にボーイングの工場があり、メインテナンスのためどこかに飛んでいかなければならないという手間がない。

航空業界には再び大編成の波が押し寄せている。今まで名門と呼ばれた航空会社が続ぎ続ぎと合併・再編を続けている。航空旅客需要は着実に増えてきているのだが、原油高騰やかさむ経費をどうやりくりするのかが問われてきている。大手の会社がジェットブルーやサウスウェストのやり方をまねできるのは、就航路線数や機材の関係上限界がある。またこれら中小の特徴ある会社がいくら収益が上がったからといえ、大手のような路線網を敷くことはこれまた無理だ。しかし、これら大手とジェットブルーのような会社はいずれ直接対決しなければならなくなるだろう。

おわり。

 

 Bobbie's Rep. Journal    Tomi Craft   TC Blog   Tomi Craft Japan Twitter   Tomi Craft USA Twitter