Rep. Journal #2, Jan 2004

Issued Jan 04

カリフォルニアでのスーパーマーケットのストは既に4ヶ月目に突入した。 スーパーマーケットのストといっても、スーパー自体がストを行っているのではなく、組合に所属している従業員たちがストライキを行っているのだ。当初は去年の感謝祭をひとつの節目にしようと、組合側がそのシーズンを敢えて戦略的に選んではじめたのだ。感謝祭といえばアメリカでは、日本の正月のように誰もが実家に帰ってターキーを食べ、家族全員で楽しいひと時を過ごすため、一般の家庭ではスーパーで、食料を大量に買えこむ。つまり組合側は戦略的にスーパーが一年で最も忙しい時を選んだわけだ。ところがスーパー側と組合側はなかなか折り合いが付かず、一時期は一般の家庭では感謝祭の為の買出しが出来なくなるといった、うわさまで出回った。スーパー側はストに参加して減ってしまった従業員を急遽、アルバイトという形で時給$5.75-6.50ドル前後で募集したところ沢山の人だかりで大殺到。結局、感謝祭は無事にどの家庭でも行われた。組合側は戦略的に選んだ結果がますます自分たちに不利に働いてしまった格好だ。スーパー側はこれに安心したのか、これ以来数週間組合側と一切の交渉を持たないと通告。ついに連邦仲裁人が両者の間には入って交渉を始めるように施す事態にまで悪化してしまった。

だれも得をしない状況がすでに4ヶ月も経っている。7万人の組合員が関与し、史上最大規模のストの本当の論点は何なのだろうか?

一般の買い物客からしてみたら、はっきり言ってどっちもどっちだ。ストに参加している従業員たちはストアーの入り口でプラカードを提げ、買い物をしないように一般客に嫌がらせはしないものの、ドアー付近でたむろしているためなかなかストアーに入る勇気を持てないでいる。ストアー側は売り上げががた落ちになるが、アルバイトを安価に採用したため、従業員にベネフィットと呼ばれる従業員保険等を払わなくなったおかげもあり、利益は一定レベルを確保しているようだ。また人間は、食べなくてはならないので、時間の問題で客は戻ってくると見ている。実際その通りで、スーパー側の売り上げは徐々に上がってきた。これでますますスーパー側は交渉をする気をなくしている。ストアー側は組合側が一人当たり時給$19.50を要求し、さまざまな保険等の手当てを補償しろと要求している、という。言葉は過ぎるかもしれないが、確かにこの時勢、スーパーでレジを打ったりや商品を搬出したりする従業員がこの時給を要求するのは、笑止千万。しかし組合側は、ストアー側が最高賃金を使って論議しているというが、実際は皆そんな時給はもらっていないという。また人件費が安いWAL Martを引き合いに出しているが、スーパーは生鮮食品など扱う分野が違うので、比較対象にはならないとしている。

これらが実際、表面でニュースや新聞などで扱われている内容だ。ただ本当のところはどうなのか?

カリフォルニア州には悪名高いWCというものがある。これはWorker's Compensationという従業員を守るためのいわゆる労災で、このシステムを悪用する人たちが後を断たず、カリフォルニアに進出している企業の財政を圧迫、税収入が減った州経済をさらに悪化させ、カリフォルニアに進出する企業が大幅に減ってしまったという、まさに誰にも悪い労災システムだ。労災のクレームが保険料をを大幅に上回り、保険会社が倒産する事態にまでなっている。全米では医療費の高騰がひとつの問題になっているが、これはその問題に直接リンクしていて、労災のシステムの中での医療費の基準が整備されておらず、保険会社は高額な医療費を払わなければならなくなっている。またここに世界的に悪名高いアメリカの弁護士が利益追求のためシステム整備不良を悪用、不当に医療費を吊り上げているだ。わかりやすく言えば、ある従業員が、仕事中に腰をおかしくして入院。そして弁護士に相談、治療費として一時金5万ドル、毎月治療費として1万ドルが出るというもの。しかし会社側は、保険会社から保険料を大幅に上げられる羽目になるのだ。しかしここにすべての問題ががあるだけではなく、州が人種、宗教などさまざまな差別を職場からなくすため、労災申請者は、帰職する意思がある限り、解雇できず、その間の保険料、給与の一部を払い続ずけなければならないという、とんでもないシステムが存在する。つまり首を切られそうになったり、会社が気に入らないという理由で、この労災を申請する人間が後を絶たず、今回のストで裏での論争になっているのだ。

あるストアーで働いていた従業員のAさんは、現在ストに参加中。共働きの夫のBさんは今、ストアーでの仕事中の怪我が元で療養中。3ヶ月前に70万ドルもする豪邸を購入、ストが始まってから何者かによって、豪邸内の中をめちゃくちゃに壊されるという事件が数週間前にあった。まさにすべてを映し出している。 またまた言葉が過ぎるが、スーパーで従業員として働いている人間が、いくら共働きだからといって、70万ドルの家が買えるはずがない。まさに労災悪用例だ。 ストアーとしては、リスクを抱えるなら、アルバイトで労災なしでがんばってくれる人を雇用するのは当然だろう。

しかし本質が徐々に明らかにはなってくるが、この労災だけが問題なのだろうか?

今アメリカの失業率は5.7%ぐらいだ。ただこの失業率、問題なのは失業率の率ではなく、中身だ。つまり就業はしているけれど、給与は以前の1/3であれば、数値が経済に与える信用度が薄れてしまう。世界規模で先進工業国における経済の縮小化は明らかだ。以前は日本だけがいわゆるバブルのつけによって経済縮小を迫られていたが、世界規模でのグローバル化・インターネット化によて安価にしかも質のよい労働力がこれら先進工業国の企業に与えられるようになった。結果同じ能力で1/3の給与で働いてくれる人を企業が雇用するのは当然だろう。つまりマイクロレベルで言えば、このストライキは就労条件・労災のシステム不備が原因であろうが、マクロレベルでみれば起こるべきして起こったわけだ。もう我々は、このような条件のなかで生きてゆくことを覚悟しなければならない。このような労働力というより、先進国と後進国との間における富の平均化が問題の底辺にあるわけで、これらを解決するには、 最低でも、15−20年はかかるだろう。

スーパーで買い物を終らせ、外に出て行くと、ストをしている当事者たちは口々にこのまま続いたら、どうしよう?いくら安くてもいいから、早く働かなければ、生活が本当に持たないと集まって論争している。彼らは組合からでる積立金のスト手当てを週給$100−300ドル程度もらっているが、困っているのは彼らだけではないはずだ。感謝祭を口火に安易にストライキに及んだのはいいが、彼らもここまでになるとは思っていなかっただろう。

今回はいいイメージピクチャーが見つかりませんでした...

おわり

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