Rep Journal , September2003

Issued,  Aug 2003

8月14日16:15東部時間、北米北東部、ニューヨーク、トロント、オタワ、デトロイト、クリーブランドを含む大都市でアメリカ史上最悪かつ最大規模の停電が起きた。停電と言っても理由がはっきり分からず(8月15日現在で)、ニューヨークを含む大都市では未だに、街全体が機能しないという非常事態に陥った。この停電で影響を受けているのはおおよそ5000万人になる。 これらの大都市を含む州政府は緊急事態を発令した。

停電が1600時というちょうど通勤ラッシュアワーに起こったことで、帰宅者達にもろに影響を与えた。普段は交通をさばく信号すべてダウン。大きな交差点では警官が、手信号によって裁いていた。北米の人口中心帯で起こったことで、交通はすべて麻痺、アムトラック・アメリカ鉄道公社、ニューヨーク・トロント・デトロイトの空港では、大幅な便の削減にせまられ、その影響で全米の旅客航空網が乱れた。

原因だが未だにはっきり分かっていない、発生当時、送電に問題が起きたとし、カナダ・アメリカ両国は互いの送電会社及び電気会社を非難しあった。北米北東部は、Northeast Interconnectとよばれカナダを含め電力をお互いに分け合っている。しかし時間が経つにつれ送電そのものには問題がないことがわかった。しかしどうして9箇所にも及ぶ原発が同時に停止したのか未だにわからずのままで一部ペンタゴンや国土安全省からはテロの疑いがもちあがった。それは今までに、送電・発電を含むシステムコンピューターは外部からのSecurityに脆弱で、ハッキングに対する対応を911テロ以降迫られていたが、具体的な対応をしていなかったからだ。考えられる他の理由は、数日前に全世界的規模で広まったウイルス。数日前から北東部での熱波、ぐらいだろう。しかしこの程度の熱波は北東部ではいつもの事なので考えにくい。なにせ影響を受けた電力会社のコンピューターはすべて正常に機能しているのに、9箇所にも及ぶ原発が自動的に停止したのは人為的な作業でしかありえなさそうだ。とするとテロまたはウイルスということになる。もしウイルスだとしても、定義の問題だが、人為的に作られたものなので結局はテロと言う事だろう。

今回の大停電が我々先進国に住む人間にとって電力に依存した生活、またはこの様な事態への対応を考えさせる事になるだろう。特にG7先進国の大都市はほとんどが500万人を越える大都市だ。ひとつの都市のダメージが他の都市へのダメージに、とくにインターネットなどコミュニケーションはすべて電力頼みなだけに、影響も大きくなる。

東京では周辺流入人口を考えると2千万人以上にも及ぶ、過度に発達した携帯電話網によってパニックになるのは間違いないだろう。今回の大停電では携帯はもちろん、TV局、ラジオ局まで影響を受けた。通常の電話は影響を受けなかったが、携帯の発達によって公衆電話を街から減らしていただけに、市民の安否の確認は相当大変だったものに違いない。通常の電話でさえ北東部にはつながりにくい状況が今でも続いている。今回の大停電で大都市では普段考えられない問題が突出。都市のインフラがいかに脆いかを浮き彫りにした。交通網がだめになったのはすぐに分かるが、ATMなどはすべて電話回線と電気を使用、これらはすべてダウン。スーパーなど保冷機能はすべてダウン。エレベーターなど高層階を利用する人々は大変な思いをすることになる。またほとんどのニューヨークのビルでは緊急用のバッテリーがあるにもかかわらず、水道などのポンプをまかなうだけの電力が供給できず、高層階での水道の利用は出来なくなった。つまりトイレも使えない事になる。テレビ・ラジオが使えなくなり人々は正確な情報が入手できなくなる。自動車もガソリンがあればいいが、ステーションのポンプが動かないので、ガソリンを買うことすら出来なくなる。こうなると人間はパニック状態になるという。

今回の事件で気になることの一つは、まず現地を訪れている日本人たちへの影響だ。日本ではちょうどお盆と重なり、北東部を訪れている日本人も少なくはないはずだ。以前の大規模テロの時は、日本大使館が何の対応もできなかったと聞く。今回はどうだったのであろう。ただ今回の影響はほとんど、どの人種に関わらず平等に影響をうけるので、そういう意味では不幸中の幸いかもしれない。

つぎに、治安の維持だ。当然電力がなければ、Security機能は一切働かなくなる。警察も治安維持には限界がある。スーパーなど生活品を扱う店では略奪に対する対応も迫られるはず。

もしこれが東京で起こったら、ぞっとする思いだ。ニューヨークではまだ大規模な略奪・犯罪は起きていないようだが。もし東京で起こったら、治安の維持は出来ないだろう。略奪・強盗と考えられる犯罪が起きるだろう。もはやモラル面でも東京は先進国で最低レベルになりつつある。しかしニューヨークではこの停電を逆に普段ありえないイベントとして活用した人々が沢山いたようだ。外で普段は口も聞かない近所の人同士での夕食、そして就寝、といっても野宿。熱くて室内にはいられないのだ。ローソクを利用した無料ナイトクラブはニューヨークならではだ。この様な人々の行動がパニック・犯罪を未然に防いでいるようでもある。

詳しい原因がわかたっら、またそれらについてレポートしたいと思います。

おわり

今回の大停電から2週間がたった、100%の原因究明はまだだが、だいたいの全容が見えてきたので報告したい。

発端はオハイオ州の送電線異常をきっかけに停電が発生したとの見方が今では有力だ。しかし大停電の兆候はいくつかあった、まずオハイオ州の電力会社ファーストエナジーの火力発電所の送電が2時ごろ停止。その後1時間内に同社の送電線に機能異常が起きた。午後4時ごろクリーブランド付近の送電線で電流の逆流現象が起き連鎖的に発電所の機能が停止したと言う。その後大停電が発生した。 異常を起こした送電線はエリー湖周辺の環状送電網の一部で、この送電網は環状幹線から多くの送電が枝分かれした構造になっている。しかし、ファーストエナジー社の火力発電所の停止と電流逆流は未だに原因がつかめていない。

専門家によると、発電所が送電停止をすると、コンピューター制御で周辺の発電所に出力増加命令が指令される。その際、一部の送電線に負荷が集中すると一定レベルを超えた時点で設備保護のため自動的に送電網から切り離される仕組みになっているという。ところが今回は、このシステムが働かなかったため機能は停止せず、送電線ではなく発電所が機構停止の自動システムを発動したようだ。エリー湖環状送電網は通常時計回りに電気を送電しているが、オハイオで機能異常が起きたため、電力供給が停止したのと同時に送電が逆流し始めた。そして発電所の全安全装置の作動による送電停止が連鎖的に起こったのだ。

しかし原因はシステム上というより、もっと構造的なものが原因にあるという。それは電力の極端な自由化が影響したのだと言う。従来は電力会社が発電し、一定地域内で販売する垂直統合型だったが、自由化により、発電、送電が分業され儲からない送電のインフラ整備は遅れに遅れた。過去10年間で、米国の電力需要は30%増大したが、送電能力は10%程度しか増えていなく、しかもほとんどの送電線は老朽化し危険なレベルにあるのも多いと言う。アメリカの企業体質でもある、極端な利益追求がコストのかかる、また利益にならない送電の整備をしてこなかった事が、底辺にあるようだ。

この大停電で影響した人口5,000万人。影響させるのに要した時間わずか9秒。

おわり

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