Rep Journal, May 2003

Issued,  May 2003

イラク戦争もアメリカの第二のベトナム化などいろいろと叫ばれてきたが、蓋を開ければ圧倒的な勝利で幕を閉じた。全米のTVネットワークでは対イラク戦の後半ぐらいから、SARSのニュースが出始め、戦争末期,、特にバグダット包囲あたりからはトップニュースでSARS関連のニュースを流すようになってきた。

現在SARSは、全米よりもカナダ、アジアにおいて様々な意味で深刻な状況になっている。

そもそもSARSとはなんなのか?どう深刻なのか?これからどうなっていくのか北米での状況を交えてリポートしてみたい。

SARS- Severe Acute Respiratory Syndrome. 日本語で言うと重症急性呼吸器症候群ということになる。2002年11月中国・広東省で異型肺炎が報告されるようになった。2002年11−翌03年2月までに305人が発症し内5人が死亡したと当初WHOには報告されていた。2003年2月下旬、上海・香港等を旅行したアメリカ人がベトナム・ハノイで体調を崩し入院した。3月下旬、約20人の入院先の医療スタッフが同様の症状を示 す。また同時期に香港の病院の医療スタッフも同様の症状を示すなどという感染例が出てきた。3月15日WHOが緊急の渡航勧告を出し、その中でSARSの定義を示した。この時点では”原因不明、抗生物質が効かない、死亡例が出ている、医療関係者を中心に感染が広まっている”という緊急事態であった。4月2日WHOより他国への感染拡大を防止するため、香港、広東省への渡航勧告が出された。また4月3日、日本では”感染症法”における”新感染症”として扱われることとなった。新感染症とは感染症法で定められている、疾患1−4類に分かれているが、新感染症は1類、エボラ熱に準じた扱いとなっていて、非常に深刻だ。

原因としては未だにはっきりした事は分かっておらず、コロナウイルス科に属する新種のウイルスであるとWHOは発表している。

感染経路だが、主要なものとして飛まつ感染が想定されている。接触感染(分泌物、排泄物などに含まれるウイルスが付着した手で、目、鼻、口等を触れることによる感染)など未だに感染経路すらはっきりした事が分かっていない

潜伏期間は2−10日の範囲で、通常2−7日間と考えられている。

WHOによるSARSの定義及び症状は次の通り、A)2002年11月1日以降に、38度以上の急な発熱及び咳・呼吸困難等の呼吸器症状を示して受診した者のうち、次のいずれかの条件を満たすもの:1)発症前10日以内にSARSの疑い・可能性例を看護若しくは介護していた者、同居していた者又は気道分泌物若しくは体液に直接触れた物。 2)発症前、10日以内に、WHOが公表したSARSの伝播確認地域へ旅行若しくは居住していた者。 B)2002年11月1日以降に死亡し上記の 1)および2)を満たすもの。 C−1) 胸部レントゲン写真で肺炎、または呼吸切迫症候群の所見を満たすもの。 2) 1)においてはっきりとした原因がないもの。 3)SARSコロナウイルス検査の1つ又はそれ以上で陽性になったもの。

治療としては、対症治療(呼吸管理)」が中心となるが、確立された投薬は未だ確立していない。 死亡率は全体で14−5%で65歳以上の感染者ではおおよその半数以上が死亡している。  報告のように抗生物質は基本的に効果がない。

現時点では7200を超えるSARSの症例がWHOに報告されている。当初中国及び東南アジアで広がりを見せていたが、現在では世界各国に広まりをみせている。しかしインフルエンザのように容易に多数の人に感染拡大する疾患でないと考えられてはいるが、基本的な感染経路が分かっていない以上、これ以上に感染が増えるのは間違いない。

SARSにおける各国の対応といえばまちまちだが、はっきり言えることは日本は国内での症例が出てはじめて対応を執るということだ。北朝鮮のミサイル攻撃時での国内の対応と基本的に一緒で、はじめて被害が確認されてから行動を執るという、まさに国民を馬鹿にしたような対応だ。米国CDCでは去年からはっきりした懸念を発表、全世界でいち早く研究を始めた。

中国では去年SARS発生時に感染患者数をWHOに少なく報告し、結果的に被害を拡大させてしまった。台湾では感染者の拡大が確認され始めてから、軍の化学防疫部隊を投入、ビル・病院の建物ごと消毒してしまうなどの動きが出ている。

もし日本で仮に発症例が報告され自衛隊が出動される場合、災害救出出動となるのだろうか?それとも新たに時限立法等が必要になって大きく行動が取れないということにでもなるのだろうか。今日本では、北朝鮮を巡る自衛隊・有事立法がようやく成立するようである。なのでこのSARSを巡る対応の立法化はまだまだ先の話のようで、本当に被害・死亡例が確認されるまでは、日本政府は何も動かないのであろう。北朝鮮・有事は戦争に直接結びつく話なので、論争も沢山あろうかとは思うが、SARSは疾病である。同一化された論議によって、立法化が遅れ被害が拡大するような事態は絶対に起きてはならない。

SARSによって今まで考えても見なかった経済問題が発生しつつある。なにせ北米の、とりわけ中国・台湾はアメリカの1番の貿易輸入パートナーだ。 多くの家庭 ・家電製品は中国及び台湾で作られている、その多くのパーツ工場の稼動がまちまちで、製品化に遅れが出ている。とくにコンピューター・モニター類は台湾での半導体等のシェアーが世界規模で、これらの出荷が遅れることによって、世界経済に大きな停滞になる。 航空・旅行産業は既に壊滅状態に等しく、多くの航空旅客会社がアジアへの便数を大幅に減らしている。 とくに香港・シンガポールでは旅行客による収入が大きく、出口の見れない状況下ではこれらの地域の経済は大打撃である。日本へはまだかろうじて大きな打撃はまだ見れないもの、浦安地域のホテル、都内の外国人がよく使うホテルでは既に、大幅な減収になっている。 北米においては、特に中国系移民の多いエリアでは、実際にSARSの感染が増えていたり、風評による大幅な減収が出ている。カナダ・トロントエリアでは、中国人に対する迫害運動までに発展し、中国人は何でもかんでも食べるからそうなってしまうのだと、一理ありそうなスローガンで迫害がおきている。実際、この点はまったく持って一理ありそうだ。中国本土における感染者の多くが、家畜を飼っている、またはそのエリアに住んでいたということだ。 どういうことにしても深刻なのはやはり感染源がはっきりしない事で、実際に香港ではあるアパートに住んでいる住人がSARSに感染した事で、アパート全体に広まったなど、各国では感染ルートの究明にも全力を挙げているようだ。

日本では試算によるとSARSが日本で拡大しなくても、現状維持の状態でも、5000億円ほどの経済的な損失が出るという。この経済波及効果は、航空・旅行・医療産業だけでなく、間接的なところまで広がりを見せつつある。SARSによって、サッカーのアジア大会が延期されるなど、スポーツ交流にも影響がではじめている。このままで行くと、次回オリンピックのアテネ大会もかなり開催が危惧される。 映画界ではカンヌで映画祭が現在行なわれているが、アジア、とりわけ中国・台湾などWHOが認定するエリアからの俳優たちは事前検査をしないと渡仏出来ない状況だ。 アメリカでは、UCバークレーがWHO認定地域からのサマースクール参加者を受け入れないという決定までが下された。事実上SARSによる感染地域出身者に対するある意味の迫害は水面下で広まりを見せている。

 

現状では衰える勢いのないSARSだが、またこの件のリポートは第二段が必要になるだろう。

おわり

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