2006 LA car show

2006年は消費者にとって自動車選びは難しくなりそうな年である。昨年末にかけてガソリン高騰がようやく落ち着きをみせ、今月1月でのロサンジェルスでの小売ガソリン価格はおおよそ$2ドル20セント。 これは高騰時に比べれば、1ガロン当たり$1程度安い。しかし数年前までは1ガロン$1ドル80セント程度だったのに比べれば大幅な上昇である。これに反比例するかのように、アメリカ車の売り上げががた落ちになっている。それは乗用車でも5リッター、V8という、おおよそ通常の使用には必要の無い大きさからはガソリンのバカ食いは防ぐことが出来ないからだ。そしてアメリカで人気を誇るSUVでは5リッター越えは当たり前だ。ガソリン高騰時にタンクを満タンにするには$120以上かかった。この高騰時に日本・韓国車はアメリカ車を追い上げ、ビッグ3を凌ぐ売り上げを 大幅に上げた。GM・FORDは売り上げを彼らに大幅に奪われ、会社存続の危機すら囁かれた。しかしこれらアメリカ車も負けてはいない、小型エンジンやハイブリッドエンジンを搭載した新車を続々発表させ、逆に日本・韓国車との差を埋めようとしている。

消費者には今年は自動車選びは難しいかもしれないと冒頭で述べたが、それは本当であろう。アメ車も小型化する中、デザインなどで日本・韓国、そして欧州車との線引きが難しくなってきた。それは以前は良しにしろ悪にしろ、アメリカ的なデザインがやはりアメリカ人には好まれていたからだ。しかし最近は相次ぐ技術・デザイン提携・株の持合で、その国の自動車作りらしさが無くなり、どの車も均一化されてきた感は否めない。

さて今年はどんな自動車が我々を迎えてくれるのだろうか?

   今年も事前に断っておくが、写真の量が多いため、ブロードバンドを利用していない人は根気強く写真のダウンロードをしていただきたい。 もしイメージにバツが出てしまったら、何回かリロードすればちゃんと出てきます。

入場して早々シェヴィーの看板が目に入ってきた。GMでは最近のモデルチェンジした車両をアメリカン・レヴォルーションと位置づけ、”アメリカ”を前面に押し出している。

GMは会場入り口の正面を確保。しかしどうしたのであろう、観客があまりいない?ガソリン高がトラウマになってGM車両を見たくなくなったのであろうか???

   サーブは今年な最悪な年になった。04年に比べ05年は40%近くの売り上げがダウン。まあ最近は街角で見かけなくなったメーカーのひとつだ。ただデザインは決して悪くはない。 しかしこのまま売り上げが上がらなければ、身売りの可能性は大である。

   真新しさがないハマー...

 

 

   何だ...人がいない...確かにポンティアックは期待のG6の売り上げが好くない。それを反映しているのかもしれない。

ポンティアックの新型クロスオーバー車。名前は忘れてしまったが、G6の車台を使った車両。ところでSUVはピックアップトラックの車台を、クロスオーバーはセダンの車台を使っている。頑丈さではSUVの方が上回り、静かさ、しなやかさではクロスオーバーの方に分がある。

   新型のユーコン・デナリ。グリル周りとヘッドランプを変更。燃費は前モデルと変わらない。

過去はぺコンぺコンの樹脂バンパーを使うなど、面白い車両を作ってきたサターン。しかし面白いイコール売り上げには結びつかなかった。しかしデザインを一新。面白さからデザイン重視に切り替え、売れそうな車両が出てきた。

 

 

     

サターンのコンヴァーティブル・スカイはポンティアック・ソルスティスの車台を使用。ソルスティス・スカイ共に売れそうなデザインだ。

 

 

ポンティアックはこのソルスティスしか見どころはない。サターン・スカイのポンティアック版。スカイはハイテク感を、そしてソルスティスはレトロ感を強調。エンジンは2.4L程度の4気筒。こういう車両こそV8の大排気量だと売れるのに...

シェヴィーはニューモデルのHHRやコルヴェットを紹介。コンセプトモデルのカマロも出展されていたが、これはコンセプトで終るであろう。

HHRはPTクルーザーの弟分とあってみれば観るほどそっくりである。赤いのはカマロコンセプト。

 

 

HHRの内装は至ってシンプル

HHRの細部はやはりGMをイメージさせる。やはりPTとは腹違いの弟なのだ。

やはりおまわりさんもコルヴェットには興味があるようです...

GMの展示では販売できそうなハイブリッドの展示はなかった。展示スペースにダイカストカーを並べる資金的余裕さか?それとも展示するような車がないのか?GMの現状を表しているのかもしれない。

 

 

キャデラックはGMCデナリと同じ車台を利用、グリル・ライト回りもよく見ると一緒である。そしてキャデラックの車両のテールランプはすべてLEDを採用。これでキャデラック車のリアーはLEDですべて統一される。シルバーのはコンセプトモデルカー。

 

 

GMは総括するとやはり現状の市場を認識していないようだ。小型モデルも幾つか投入されているが、それらは韓国や日本メーカーとの提携や子会社化で製造化したモデルで、GM独自の車両はない。ただソルスティスやスカイなどの興味深い車両は今後市場でどの程度人気が出るのか興味深い ところだ。

TOYOTAはGMとは逆に昨年はよい年であった。ハイブリットも非常に好調で、今年は昨年以上の成績が見込める。また"moving forward"という合言葉はアメリカ人には受け入れられていて、暗い出来事が続くアメリカでも"先に進もう"は明るく前向きな言葉だと好感がもたれているようだ。反対にGMの合言葉"American Revolution"は何がレヴォルーションなのかさっぱり分からず、あまり受け入れられていない。そんな合言葉の違いでもアメリカの社会では差が出ているのである。

 

 

新型LAV4とカムリ

サイオンはアメリカの若者に受け入れられた。そのLAやNYのライフスタイルをイメージした戦略は多くの若者に受け入れられ、今や若者向け雑誌には必ずといっていいほど広告が載せられている。

 

 

Yarisは日本で言うところのVitsである。今年から北米にも投入され期待されるところだ。今後Yaris・スポーツヴァージョンなど日本にすでにある”R"モデルも登場するだろう。

Yarisチューンを手がけた人達の似顔絵ボディーペイント

このFJクルーザーも今年投入されるモデル。往年のスタイルを現代によみがえらせた。

このFJはランドローヴァーやジープが競争相手になるようだ。

 

 

北米で生産されるカムリはホンダアコードと共に、北米で一番売れているセダンである。今年からはハイブリッドモデルも加わり、アコードとの競争はより激化される。

プリウス・ハイブリッドをカムリ用に改造した。プリウスでの完成度は非常に高く、このカムリでも問題はなさそうだ。ただ見た目、先代より少し小さいような気もする

 

 

レクサスはポール・マッカートニーのサイン入り車両を展示、そのほかにもハイブリッドを展示していた。

 

 

トヨタが目標としている、1車種に必ずハイブリッドモデルをおくと言うのは着実に進んでいるようで、レクサスにもコンセプトではないハイブリッドモデルが今年投入される。 セダンやSUVモデルでハイブリッドを販売するのだが、これでレクサスのメルセデス・BMW・リンカーン・キャデラックに対し1歩どころか2歩ぐらい先を行くことになる。

 

 

アウディーVWグループは、今年は特にアウディー部門がさえなかった。04年に比べ05年は減収というアウディーにとって初めての出来事だった。 パーフォーマンスは十分ながら、スタイル・デザインに斬新さを欠いた結果だ。

アメリカで久々のGTIのデビューである。しかし欧州や日本にあるGTI・4ドアーは相変わらず投入されない。 既に日本や・欧州で発売されている、1.5L程度の小型エンジンを搭載したモデルを北米市場に投入したほうが、話題よりも実利が得られるような気もするが。今回のショーでアウディー・VWブースで目立っていたのが、3輪自動車・トライクでなく3輪自動車である。エンジンはなく、モーターがそれぞれのホイール内に収納されている。 当然市販はされないだろう。

 

 

LAショーにおいてはBMWは今年はあまり見るところがない。しかし新型のM5・M6が展示してあった。 来年のショーあたりで具体的なハイブリッドモデルが登場するかもしれない。BMWもトヨタに真似て、全てのラインアップに1モデルのハイブリッドを投入していくようだ。まずは3シリーズのハイブリッドが来年お目見えするかもしれない。

スバルも今年は目立った動きはない。ニューモデルのトライベッカは去年ショーでお目にした。今回のショーでは自動車よりもWRX体験マシーンの方が人気があった。 しかしトヨタがスバルの実質的なオーナーになったことで、北米・インディアナのスバル工場ではトヨタ車両も製造ラインに乗る事になる。そしてリターンとしてスバルにハイブリッドシステムが提供、レガシー・アウトバックかフォレスター・トライベッカのどれかのモデルにハイブリッドが登場するかもしれない。

 

 

三菱もあまりみるところがない。しかし新型イクリプス・ラリーアートエヴォルショーンは興味深い。実際市販されるかどうかはわからないが、このようなモデルを投入できなければ、三菱の北米での存在はなくなってしまうだろう。三菱もピックアップトラック部門にレイダーを投入したが、これまた売れていない。日本ではパジェロの生産も中止されるようなので、本当に三菱は売る車がなくなってしまう。

 

 

ヒュンデイの去年は最高の年になった。その手ごろな価格と改良に次ぐ改良でリスタイルされたボディーは高級感が漂ってきている。数年前のやすっちーイメージは今はない。観客も今までのショーでのヒュンデイのイメージとは違うところに気がついたようで、ヒュンデイ側もショーでの車両の展示イメージを変え、より高級感を出す努力が見られた。このままだと三菱はおろか、日産あたりも射程圏内に収まってくるのではないだろうか。

ソナタに関してみればバッジを見なければホンダそっくりだ。しかし三菱と比較したらヒュンデイの方が今は明らかに良い車に見える。 しかし北米で作り始めた車両と本国で作られた車両の品質格差が出てくる可能性がある。本国では労働・原価・生産の全てが上昇、いまや安価ではなくなってしまった。そして韓国車は車両に特別の技術投資を積極的に行っておらず、このまま生産価格差だけで売り上げが上がっていく筈はない。ハイブリッドなど新技術の具体化は急務であろう。

 

 

ダイムラークライスラーも去年はそれほど悪い年ではなかった。GM・フォードが軒並み売り上げを落とす中、燃費では勝負せず、スタイル・パフォーマンスで勝負したことが生死を分けたのだろう。スタイルやパフォーマンスが気に入ればガソリン価格はあまり気にならないのは実際そうかもしれない。 実際パフォーマンスを重視した車両でも、今までの車両の燃費とさほど変わらない。燃費が同じならスタイルが良くなければ売れるはずはない。

ことしDCのモデルで売れた車両の中にこの300Cがある。そのベントレーのようないでたちに、V8−340馬力を誇るエンジンの組み合わせは、ガソリン価格など気にしない人達に人気だ。 車両デザインはここLAで起こされた。確かにそのスタイルからLAライフスタイルが想像できる?

 

 

PTクルーザーから始まったDCの売り上げ増は、時期PTクルーザーがどのようになるかによってDCの運命も決まるかもしれない。しかし成熟を迎えたPTはいまだに人気が高く、GM・HHRの購入を考える人にとっては、ヴァリエーションの多さからも十分考慮に入る車両である。 今後更に成熟が重ねられ、アメ車版・カムリ・アコードとなって行くのであろうか?

ニューモデルのアスペン。そしてヘミV8を積んだジープ・チェロキー。やはりパフォーマンスが優先だ。 これらのニューモデルに搭載されるV8は、高速クルージング時は4気筒のみのオペレーションが可能。燃費も大幅に向上する。

やはりニューモデルのジープ・グラディエーター。下はショーでいつもお目見えするコンセプトジープ。いつも名前を控えておくのを忘れてしまうのだが、このジープは4輪が360度展開可能で、その場でユーターンなどが出来る、面白い車両だ。 まあ市販具体化はされないであろう。

 

 

Fiskerは今回が初めての出展。

FiskerとSpykerは共にマッセラーティの血を引く。

 

 

今回のLAショーで最も高い車、ブガッティー。これはニューモデルでお値段なんと1ミリオンUSD !仕様もすごくて、V16エンジン・4ターボ、1001馬力!結構ハリウッドスターからのテストドライヴの以来が来ているそうです。

ホンダは去年は良い年になった。売り上げもシェアーも伸び言うことのない年であった。今回の展示では電池、ハイブリッド、プロパン、水素など次世代のハイブリッド・エコカーを展示。

今年初めはリッジラインとシビックが共にカーオブザイヤーを受賞。S2000も相変わらずの人気を誇る。

とくにシビックはハイブリッドでトヨタ・プリウスを追撃する。

 

 

こちらはシビック水素ガス車両。それに家庭用プロパンガス注入機。プロパンガス車両を導入しても家庭でガスを補充できるすぐれたシステム。水素とは違って現実味があるシステムと言えよう。 1回の注入で200マイル程度走れるようで、だいぶ実用性がアップしてきた。

アメリカではホンダのテレビCMは家庭草刈機・発電機からオフロード4駆、NSXスポーツカーからリッジライン・ピックアップまでという、家庭のエンジンは全てホンダがつくっていますと、と強調。展示も草刈機から発電機、バイクにマリーンエンジンと色々 あった。

ダッジはスプリンターのリクリエーションユースのヴァンを展示。最近はアストロなどのカーゴヴァンに変わってこのスプリンターが街でも良く見かけるようになってきた。 ここでGMの話になるが、アメリカの商用車・アストロは生産終了になっている。しかしアメリカではこのサイズのカーゴヴァンはどこのメーカーも作っておらず、ほとんどの人が2回り大きいながらこのダッジ・スプリンターを購入している。もしGMが新型アストロを作ればその市場は独占できるのだが...ところでこのスプリンター。様々なヴァリエーションがあり椅子の付いた自家用モデルから、カーゴ、など多彩なモデルがある。

ダッジは自動車の展示よりもシミュレーションゲームの方が人気が高い?

 

 

マイバックはいつもより間近に車両を展示。今回は車内の内容までしっかり目にすることが出来た。

またメモワーオブゲイシャ、邦題サユリの映画で使用された実車のメルセデスも公開。さすがはハリウッドの街だ。

今回メルセデスは新型”S"クラスとクロスオーヴァーヴァンを展示。

フォードグループ筆頭はリンカーンだ。新型モデルは幾つか投入されているが、いまいち斬新さにかけている。

今年もクローム人気は高いようだ。

ヴォルヴォは幾つかのコンセプトモデルを展示。チューンされたXC70はかなりの人目を集めていた。

 

ジャギュアーもニューモデルを投入しかし高級感はあるものの、目新しさにはかける。

フォードグループもGMと同じように、全体に目新しさはなく、市場とミスマッチなのが明らかだ。

★今回のショーリポートでは、Buick, Nissan, Mazda, Porsch, Isuzu, Kia, Suzukiなど, 取り上げなかったメーカーがあることのお断りをしておきたい。これら扱わなかったメーカーの車両は特別にみるところがなく、新しいモデルはあるにしろ、あえてスペースを割く必要性がなかったからだ。

★ショー全体の総括として、売り上げ・シェアーを共に伸ばしつつある日本勢・韓国勢に比べ、シェアーを現状のまま、若しくは減らしている欧州・アメリカ車勢は、今回の展示を見ていても明らかな市場認識・ユーザー嗜好とのミスマッチが感じられた。微弱ながらも売り上げを伸ばしたDCは、燃費を考慮に入れつつもパフォーマンス・デザインをあえて前面に出し、日本・韓国勢との燃費競争に巻き込まれないようにしているのがうかがえる。GM・FORDはともに、燃費の良い車両も少なく、そしてデザイン性も抜きに出ている車両はなかった。2006年が始まったばかりの1月はガソリン価格は安定しているものの、春先にはまた価格上昇に転じてくるだろう。ことしもGM・FORDにとってはあまり良い年にはならない かもしれない。しかしこれらのメーカーも研究室では燃費向上・デザイン・パフォーマンスを重視した車両を研究しているのは間違いない。来年のショーが逆に楽しみでもある。

最後はお決まりのLAカーショーデザインコンテストだ。これらはコンセプトだが、近い将来来るであろう、トレンドや社会のニーズをとらえているので非常に興味深い。

これらコンセプトスケッチからLAでのライフスタイルが想像できるものが豊富にある。海、山、砂漠、雪山などLAではアウトドアーライフも満喫できるからだ。そんな世界的にみても特殊な場所柄か自動車メーカーの多くではLAエリアにデザインセンターを設けており、最近ではホンダ・アキュラがデザインスタジオをLAに開設すると発表したばかりだ。最近の自動車のデザインはここLAで手がけられたものが多く、このトレンドは将来にわたっても変わらないだろう。

2006年度LAカーショー

ではまた来年お会いしましょう...と思ったら次回は今年の年末ですか?

おわり

 

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